ヨハク

短編ミステリー

『いつも先に借りている人』カードの名前

六月十六日、火曜日。昼休みになると、僕はいつものように図書館へ向かった。校舎の西端にある図書館は、昼休みでもそれほど混まない。友達と話すのが嫌いなわけではない。ただ、四十分しかない昼休みを教室の騒がしさの中で過ごすより、本棚の間を歩いている...
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『青い嘘』あとがき

『青い嘘』を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。今回の物語では、**「人の声に色を感じる共感覚」**をミステリーの中心に置きました。主人公は長いあいだ、青い声=嘘だと信じています。実際、これまで青く感じた言葉が後になって嘘だった...
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『青い嘘』嘘には色がない

翌朝。私は開館前の事務室で、高瀬さんを待っていた。机の上には三つのものを並べてある。消えたあと見つかった『わたしたちの町 二十年の記録』。高瀬さんが書いたという電話メモ。そして、十八年前の職員記録から控えた吉岡恵美さんの連絡先。午前八時四十...
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『青い嘘』青の正体

翌日。私は開館前から、昨日印刷した新聞記事を机の上に広げていた。二十年前のタイムカプセル。五歳の藤崎真帆。そして、その隣に立つ母親らしい女性。写真の中の二人は、白い封筒を手にしていた。七日後。タイムカプセルは開封される。もし水野さんが本当に...
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『青い嘘』嘘ではない青

翌朝。私はいつもより三十分早く図書館へ着いた。昨夜から、ずっと同じことを考えていた。青は、本当に嘘の色なのか。二十年以上、疑ったことのなかった感覚だった。けれど水野さんは、問題の本に触れていない。少なくとも、防犯カメラを見る限りでは。それな...
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『青い嘘』青く聞こえる声

人の声には、色がある。少なくとも、私にはそう見える。朝、駅前のコンビニで店員が「ありがとうございました」と言えば、薄い橙色が視界の端を横切る。電車の車内放送は、少しくすんだ銀色。子どもの笑い声は、黄色や桃色になることが多い。色が実際に空中へ...
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『自分だけが知らない暗証番号』あとがき

最後まで『自分だけが知らない暗証番号』をお読みいただき、ありがとうございました。今回の物語で描きたかったのは、金庫の中身そのものではなく、**「自分の記憶はどこまで信用できるのか」**という小さな疑問です。自分で買ったはずなのに、覚えていな...
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『自分だけが知らない暗証番号』金庫の中身

圭介は、八桁の数字が書かれた紙を机に置いた。58310426おそらく、これが暗証番号だ。ここまで来れば、金庫を開けることはできる。だが、まだ開けない。三日前の自分が仕掛けたもの。それは金庫そのものではなかった。暗証番号でもない。「自分は記憶...
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『自分だけが知らない暗証番号』開けてはいけない理由

圭介は、ノートに書いた四桁の数字を見つめた。4721暗証番号かもしれない。だが、まだ金庫には入力しない。三日前の自分が残した警告を無視するつもりはなかった。調べるべきなのは、この数字が何を意味しているのか。圭介はまず、自分に関係する数字を洗...
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『自分だけが知らない暗証番号』残された数字

その日の夜。仕事から帰った圭介が最初に確認したのは、金庫だった。朝と同じ場所にある。当然だった。誰も部屋には入っていない。それでも圭介は、玄関から部屋へ入った瞬間、机の横を見ずにはいられなかった。黒い金庫。テンキー。取っ手。そして朝見つけた...