短編ミステリー

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『甘い眩暈』あとがき

『甘い眩暈』を最後までお読みいただき、ありがとうございました。今回の物語では、「甘いものを食べると、約二十分の記憶が消える」という奇妙な現象から物語を始めました。チョコレートを食べたあと、時計を見ると二十分ほど進んでいる。キャンディーを口に...
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『甘い眩暈』甘さの向こう側

八月十八日、火曜日。朝になっても、圭介は昨夜見つけた紙の意味を理解できずにいた。「甘いものを食べたから忘れたんじゃない。」「忘れるために、甘いものを食べた。」何度読み返しても、意味は変わらない。自分が書いた。そうとしか思えなかった。文字の癖...
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『甘い眩暈』忘れたかったもの

圭介は引き出しの奥から、薄い封筒を取り出した。白い、ごく普通の封筒だった。宛名はない。切手もない。ただ表面に、自分の字で一言だけ書かれている。「最後に開けろ」圭介はしばらく封筒を見つめていた。ここまで来て、開けないという選択肢はない。それで...
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『甘い眩暈』消えていなかった時間

八月十九日、水曜日。圭介は朝から、昨夜ノートに書いた一文を何度も考えていた。本当に、二十分は消えているのか?映像には、自分が動いている姿が残っている。それなら時間そのものが消えたわけではない。消えたのは、自分の記憶。そう考えるのが普通だ。だ...
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『甘い眩暈』消えた20分

最初におかしいと思ったのは、チョコレートを食べた夜だった。2026年8月13日、木曜日。午後九時を少し回ったころ。水城圭介は仕事を終え、一人暮らしのマンションに帰ってきた。ネクタイを緩め、冷蔵庫からペットボトルの水を取り出す。夕食を作る気に...
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『いつも先に借りている人』あとがき

最後まで『いつも先に借りている人』を読んでいただき、ありがとうございました。この物語は、「自分が借りる本の貸出カードに、なぜか毎回同じ人の名前がある」という小さな違和感から始まりました。今では図書館の貸し出しもバーコードやコンピューターで管...
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『いつも先に借りている人』最後の貸出カード

「先生」僕は言った。「まだ、僕に隠してることがありますよね」先生は答えなかった。旧校舎三階の資料室。夕方の光が、薄暗い部屋の中へ斜めに差し込んでいる。机の上には、二〇一二年度の図書委員会資料。黒いノート。そして十四年近く前の水城澪が写った写...
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『いつも先に借りている人』旧校舎三階資料室

その日の夜、僕はずっと暗号の続きを考えていた。キュウコウシャ サン カ旧校舎、三、カ。「カ」は何だ。階。会議室。科学室。管理室。いくら考えても決め手がない。ただ一つ分かっているのは、司書の先生が「旧校舎には行かないで」と言ったことだった。危...
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『いつも先に借りている人』水城澪を探す

カタン。図書館の奥から、本が床に落ちる音がした。僕は顔を上げた。「……誰かいるんですか?」返事はない。時計を見ると、午後五時十二分。七月九日、木曜日。閉館までまだ時間はある。ほかの生徒がいてもおかしくはない。それなのに、急に図書館全体が静か...
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『いつも先に借りている人』カードの名前

六月十六日、火曜日。昼休みになると、僕はいつものように図書館へ向かった。校舎の西端にある図書館は、昼休みでもそれほど混まない。友達と話すのが嫌いなわけではない。ただ、四十分しかない昼休みを教室の騒がしさの中で過ごすより、本棚の間を歩いている...